山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

新型コロナウイルスとは

2つの顔を使い分ける狡猾なウイルス

新型コロナウイルスに感染しても、多くの場合は症状が出ないようです。症状が出る場合も大半の人では咳や発熱などの軽症で終わります。そのため、多くの人は新型コロナウイルスに感染しても気づきません。そのため、感染が急速に広がる恐れがあります。一方で、一部の患者さん、特に高齢者や糖尿病などの持病をお持ちの方には、同じウイルスが牙をむいて襲い掛かります。肺炎が急速に悪化し、多くの場合、人工呼吸が必要となります。70歳以上の感染者では感染者のうち10%近い方が、数週間以内に亡くなっています。中国の報告では、20代30代であっても感染すると500人に1人くらいは亡くなっています。普段は鳴りを潜めて多くの人に感染し、ところどころで牙をむく、非常に狡猾なウイルスです。しかし、ウイルスにも弱点があります。ウイルスは人の力を借りてのみ猛威を振るいます。人が一致団結し、賢く行動すれば、ウイルスは勢いを失います。

インフルエンザとは違う恐ろしさ

新型コロナウイルスでは、元気な方でも急激に悪化し亡くなることがあります
ワクチンがなく、誰もが感染する可能性あります。中国らの報告では、感染すると、20%程度の方は重症化します。息切れ、激しい咳、高熱が続きます。有効な薬はないため、患者さんは耐えるしかありません。5%くらいの方では、1~2週間で呼吸困難となり、人工呼吸器が唯一の治療法となります。人工呼吸器が不足すると助かる命が助かりません。80歳以上では15%くらいの致死率です。20代、30代であっても、感染者500人に一人くらいが死亡しています。日本のデーターでも感染者の4%くらいは、集中治療室での治療や人工呼吸器が必要となり、その半分は亡くなっています。発症してから数週間で急激に亡くなるのが特徴です。感染が急速に広がると病院の対応能力が限界に達し、心筋梗塞や交通事故など他の救急患者さんも救えなくなります。医療崩壊です。イタリヤ、スペイン、武漢では、実際に人工呼吸器の不足、医療崩壊が起こっています。

患者(Tara Jane Langstonさん)が、集中治療室から、呼吸できない辛さを訴えておられます。
https://www.youtube.com/watch?v=iFLSG-7K3Tc

季節性インフルエンザ
ワクチンがあり、ある程度の予防が可能です。多くの治療薬が開発されています。インフルエンザがきっかけで、1000人に1人くらいが亡くなると考えられています。しかし新型コロナウイルス肺炎のように急激に悪化し亡くなる方は少ないです。高齢者や免疫力の弱っている方がインフルエンザに感染すると、それがきっかけで細菌性の肺炎になったり、持病が悪化して亡くなることがあります。毎冬、日本だけで1千万人くらいの患者が発生し、インフルエンザがきっかけで1万人程度が亡くなっていると考えらていますが、人工呼吸器が不足したり、医療崩壊が起こったことはありません。。

年齢別の患者数と致死率(中国のデータ)

60歳以上で致死率が急上昇します。MARS並みです。20歳未満の患者数は非常に少ないですが、これは無症状や軽症の感染者が表に出ていない可能性があります。20代、30代であっても、500人に1人くらいは亡くなっています。若い人にとってもこの新型コロナウイルスは大きな脅威です。もし、500回に1回の確率で死亡事故を起こす乗り物があったとして、あなたは乗ることが出来ますか?新型コロナウイルスは、あなたにとって、そして周囲の人にとって、大きな脅威です。
(図をクリックすると拡大します)

致死率と感染性

致死率も感染性も季節性インフルエンザや2009年の新型インフルエンザより高いことが、今回のパンデミックにつながっています。(図をクリックすると拡大します)
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集団感染(クラスター)とは?

新型コロナウイルスでは、クラスターと呼ばれる集団感染が問題となっています。クラスターの場所になりやすい条件としては、換気の悪いところ(密閉)に、多くの人が集まり(密集)、近くで会話したり、声を出すこと(密接)が考えられています。屋外のイベントであっても、大勢がトイレや休憩場所などを共有すると3つの密が重なり集団完成を引い起す可能性があります。このような場所を作らない、行かないことが、感染の急速感染を抑えるために重要です。いくら手を消毒してマスクを着用しても、3つの密が揃うと感染が広がる可能性あります。

対策のゴール

急激に感染者が増加すると、病院機能が麻痺し、医療崩壊につながる恐れがあります。最も深刻なのは、人工呼吸器の不足です。助かる命が助からなくなります。また現在は、無症状や軽症であっても、感染病棟に入院することが多く、重症者を受けいる余裕がなくなっている地域もあります。院内感染等で病院が休止されると、救命治療にも影響が及び、心筋梗塞や交通事故など、ウイルスと関係のない患者さんの対応にも影響が及びます。
感染拡大のスピードを遅くし、医療体制を整備する必要があります。

(図をクリックすると拡大します)

パンデミックに関するNHKの解説

1年前の解説ですが、パンデミックのことが良く分かります。パンデミックと言えばインフルエンザだったので、新型コロナウイルスによるパンデミックを予測していた科学者は少ないと思います。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/319587.html
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