山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

中国からの症例報告

小児、若年感染者は軽症または無症候

Castagnoli et al., Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infection in Children and Adolescents - A Systematic Review. JAMA Pediatrics 4月23日オンライン版
(内容)
小児および若年における新型コロナウイルス感染の文献レビュー。文献サーチで見つかった新型コロナウイルスに関する815論文のうち、小児および若年を対象とした18論文について総括した。報告の総数は1065名。444名は10歳未満。553名は10歳から19歳。シンガポールの1論文を除き、すべて中国からの報告であった。症状としては、発熱、乾性の咳、全身倦怠感、もしくは無症状であった。肺CTでは、気管支壁肥厚やすりガラス状陰影が特徴的で、無症候例でも認められている。重症例の報告は13か月児の1例のみであり、死亡例の報告はなかった。
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2765169?guestAccessKey=c3f7127b-28dd-4025-b108-8b9224e7e38c&utm_source=silverchair&utm_campaign=jama_network&utm_content=covid_weekly_highlights&utm_medium=email

感染時の高血圧治療

Li et al, Association of Renin-Angiotensin System Inhibitors With Severity or Risk of Death in Patients With Hypertension Hospitalized for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Infection in Wuhan, China. JAMA Cardiology 4月23日オンライン版

(内容)

新型コロナウイルスが細胞に侵入するときに利用するACE2は、血圧を上げるアンギオテンシンIIという物質を分解する働きがある。多くの高血圧患者がアンギオテンシンIIの合成阻害薬や、受容体阻害薬を服用していることから、新型コロナウイルス感染症の予後に影響を及ぼす可能性がある。しかし、今回の武漢からの報告によると、これらの降圧剤を服用していても、重症化の程度や致死率に差はなかった。新型コロナウイルスに感染しても、これらの降圧剤の服用は問題ないことが示唆された。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/fullarticle/2765049

感染した妊婦118名の症例報告

Chen et al., Clinical Characteristics of Pregnant Women with Covid-19 in Wuhan, China, New England Journal of Medicine 4月17日オンライン
(内容)
2019年128日から2020320日までに武漢で感染が確認された妊婦118名の報告。84名はPCRで陽性。残りの34名は胸部CTで診断。75名は妊娠後期。75%に発熱、73%に咳、44%にリンパ球減少、79%で胸部CTで浸潤像。 109名は軽症。9名が重症。うち6名は出産後に重症化。別の1名は出産後に重篤となり人工呼吸を要した。重症の9名、重篤の1名を含め、109名が320日までに退院。死亡例はない。
3名は自然流産。2例は子宮外妊娠。4例はウイルス感染の心配から、本人の希望により堕胎。観察期間中に出産したのは68例。武漢における全出産の0.56%を占める。63例は帝王切開。そのうち38例はウイルス感染が原因で帝王切開となった。14例は満期前の出産。8例では陣痛が誘発(7例はウイルス感染が原因)。2例が双生児であったため70名の新生児が誕生。新生児仮死は認められず、8名の新生児でPCR検査を実施も陰性。3名の母親の母乳もPCR陰性であった。
(コメント)
妊婦が感染しても重症化しやすいという傾向はみられなかった。新生児は8例のみでPCR検査されたが、垂直感染は確認されなかった。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2009226?query=featured_home

陽性患者から誕生した新生児19名の解析

Liu et al., Clinical characteristics of 19 neonates born to mothers with COVID-19. Frontiers of Medicine 4月13日オンライン版
(内容)
新型コロナウイルスに感染した19名の女性から誕生した新生児の報告。18例は帝王切開。1例は経腟分娩。新生児は出産後、直ちに母親から離され、14日間は母親との接触を禁止した。19人の新生児全員が、PCR検査陰性であり、健康であった。
https://link.springer.com/article/10.1007/s11684-020-0772-y


小児患者2143名の解析(中国CDCの報告)

Dong et al., Epidemiological Characteristics of 2143 Pediatric Patients With 2019 Coronavirus Disease in China. Pediatrics オンライン版
(内容)
中国CDCに報告された小児例の報告。New England Journal of Mediciceの武漢小児科病院の症例も含まれると思われる。PCRで確定診断されたのは731例。90%は無症状、軽症、中症であった。しかし、0歳児では重症や重篤例がやや多い傾向にあったので要注意。

https://pediatrics.aappublications.org/content/pediatrics/early/2020/03/16/peds.2020-0702.full.pdf

小児感染例171名の解析(武漢小児病院の報告)

Lu et al., SARS-CoV-2 Infection in Children. New England Journal of Medicine 3月18日オンライン版
(内容)
感染者の濃厚接触あった小児1391人中、PCRで陽性が確認された171名の解析。平均年齢は6.7歳。発熱は41.5%。他には咳や咽頭痛が見られたが、27名(15.8%)では、レントゲン所見を含めて全く無症状。12名はレントゲンで肺炎所見があるも無症状。3名がICUに入院し人工呼吸が必要であったが、3名とも基礎疾患あり(水腎症、白血病、腸重積)。このうち腸重積併発例は死亡。3月8日時点で149名が退院。
(コメント)
やはり小児では無症状が多い。無症状小児がどれくらい感染性を持っているかは、今後の対策を考える上で重要。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2005073?query=featured_home

感染者72314名の解析(中国CDCの報告)

Wu and McGoogan, Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China 米国医師会誌 2月24日オンライン版
(内容)
中国の感染者72314名の解析結果。軽症81%、重症14%、重篤5%。約4%が病院スタッフ。全体の致死率は2.3%、70歳代は8%、80歳以上は14.8%、9歳以下は死亡例無し。基礎疾患持つ人の致死率は、心血管疾患は10.5%、糖尿病7.3%、慢性肺疾患6.3%、高血圧6%、癌5.6%。SARSの時は中国政府がWHOに報告するまで2か月かかり、すでに感染者300名死者5名出ていた。Covid19においては、1週間、患者27名死者無しの段階で報告した。湖北省では感染の拡大を抑えるため4~6千万人を対象に移動制限を実施した。人権侵害という批判もある。しかし個人の人権も大切だが、感染の危機にさらされる多くの人の権利も大切。これらの対応の成否は、今後、長期間かけて評価されるべきである。SARS やMERSでは院内感染により広がった。Covid19でも院内感染が報告されているが、2次感染の多くは濃厚接触者間で起こっている。湖北省以外で1183件のクラスターが報告されているが、そのうち88%は2から4人の感染者、64%は家庭内で発生している。SARSやMERSより感染力は強いと考えられ、基本産生数(R0)の報告もいくつかあるが、正確なR0の算出には更なる研究が必要である。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762130

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