山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

中国以外の症例や予測

妊婦の感染状況(ニューヨークの報告)

Sutton et al., Universal Screening for SARS-CoV-2 in Women Admitted for Delivery. New England Journal of Medicine 4月13日オンライン版
(内容)
ニューヨークの2つの病院に3月22日から4月4日の間、出産のために入院した妊婦全員に対してPCR検査を実施した。215名中、4名が発熱等の症状を入院時に示し、4名全員がPCR陽性であった。残りの無症状211名中、210名でPCR検査を実施した結果、29名(13.7%)が陽性であった。したがって、PCR陽性患者33名のうち、29名(87.9%)が入院時は無症候であった。このうち3名は、出産後に発熱が見られたが、2名は子宮内膜炎が原因と考えられた。また最初のPCR検査で陰性だった1名が、出産後に有症状となり、再検査の結果、陽性が確認された。
(コメント)
症例数が少ないので拡大解釈はするべきではないが、ニューヨークにおいては、報告されている以上に感染者、特に無症状の感染者が存在している可能性がある。このような状況では、出産のために入院した妊婦全員を検査することは、新生児への適切な対応や、院内感染の防止にとって重要である。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2009316

イタリア・ロンバルディア州でICUに入院した患者1591名の報告

Grasselli et a., Baseline Characteristics and Outcomes of 1591 Patients Infected With SARS-CoV-2 Admitted to ICUs of the Lombardy Region, Italy. 米国医師会誌4月8日オンライン版
(内容)
72病院のICUにて2月20日から3月18日までに治療を開始した患者。最終フォローアップは3月25日。年齢は平均63 歳(56-70)。83%が男性。88%は人工呼吸器、11%は酸素投与。68%に基礎疾患。49%は高血圧。3月25日現在、58%が入院中、16%はICUより退院、26%が死亡。64歳以上の死亡率は36%、63歳以下は15%。
(コメント)
イタリアでは重篤例の大半が男性の高齢者。高血圧の既往が多い。26%が死亡しているが、回復例も16%ある。


https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2764365?guestAccessKey=b31f5704-e073-4df7-bc2f-165927e428e8&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=040620

アメリカにおける今後の見通しの予測

IHME COVID-19 health service utilization forecasting team. Forecasting COVID-19 impact on hospital bed-days, ICU-days, ventilatordays and deaths by US state in the next 4 months. MedRxiv 3月25日
(内容)
ビル・ゲイツが設立したIHME(公衆衛生に関する統計を解析する独立機関)による、査読前の論文。内容は「データから学ぶ」を参照。

http://www.healthdata.org/research-article/forecasting-covid-19-impact-hospital-bed-days-icu-days-ventilator-days-and-deaths

アメリカワシントン州の重篤例治療報告

Arentz et al., Characteristics and Outcomes of 21 Critically Ill Patients With COVID-19 in Washington State 米国医師会誌 3月19日オンライン版
(内容)
エバーグリーンホスピタルで治療した重篤21例の報告。平均70歳(43から92歳)。18例では慢性腎不全やうっ血性心不全などの基礎疾患あり。初期症状は息切れ、発熱、咳など。2例はインフルエンザA、1例はパラインフルエンザにも感染。入院時20例で肺XPに異常。14例ではリンパ球1000以下。15例でARDS。8例で人工呼吸。7例で心筋症。14例が死亡。5例は依然、重篤。2例が回復。
(コメント)
中国以外からの臨床報告も重要。インフルエンザと併発例があることは要注意。心筋症の併発が多いのは、ウイルスの心筋に対する直接作用か?
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763485

イタリアロンバルディア州の集中治療室における危機的状況

Grasselli et al., Critical Care Utilization for the COVID-19 Outbreak in Lombardy, Italy - Early Experience and Forecast During an Emergency Response 米国医師会誌3月13日オンライン版

イタリアロンバルディア州の集中治療室担当医からの報告。2月20日に30台の患者が治療抵抗性の非定型肺炎としてICUに入院した。新型コロナウイルスの感染リスクは想定されていなかった。しかしPCR検査で陽性が確認された。それから24時間以内に36名の陽性患者が報告され、アウトブレイクを想定する事態となった。ロンバルディア州には74病院にICUが720床あるが、冬の間は85から90%がうまっている。新型コロナウイルス感染のアウトブレイクに対応するため、ベッドの増設等を急ぎ行い、最初の18日間で482床のICUを確保した。3月7日現在、359名の陽性患者がICUに入院中。これは全陽性入院患者の16%に相当。(全感染者の12%)。これは中国で報告された5%のICU入院率よりはるかに高い。イタリア人と中国人の種差、年齢分布や併発疾患の違い、などが原因しているかもしれない。アウトブレイクの更なる拡大と医療崩壊が懸念され、3月8日は、ロンバルディア州は封鎖された。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763188

人工呼吸器の使用に関する第三者委員会の必要性(ハーバード大学の提言)

Trouog, Mitchell and Daley. The Toughest Triage — Allocating Ventilators in a Pandemic. New England Journal of Medicine 3月23日オンライン版
(内容)
アメリカでは今後、新型コロナウイルスの拡大により人工呼吸器が不足する可能性が高い。他の医療機器とは違い、生死に直結する。人工呼吸器を装着しているが回復する可能性の低い患者から、装置を外して新たな、回復する可能性のある患者に装着する決断を迫られるだろう。この決断や、人工呼吸器の抜去は、治療を担当する医師ではなく、別の第3者委員会が行うべきである。この委員会は”死の宣告をする委員会”ではなく、”助かる人を助ける”ための委員会である。
(コメント)
Daley博士は友人で幹細胞の専門家です。ハーバード大学医学部長としての提言です。日本も他人ごとではありません。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2005689?query=featured_home
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