山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

妊娠とワクチン接種

妊娠とワクチン接種

妊婦に対するワクチン接種について、⽇本産科婦⼈科感染症学会と⽇本産科婦⼈科学会が1月27日に提言を公表しています。その中で、COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対する安全性、特に中・⻑期的な副反応、胎 児および出⽣児への安全性は確⽴していないが、感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している⽅は、ワクチン接種を考慮する、としています。ワクチン接種を行う場合も、器官形成期(妊娠12週まで)は避ける、としています。この提言は、国際誌でも公表されています。

5月12日には、提言の第2版が公開されました。その中では、感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している⽅は、ワクチン接種を積極的に考慮する、としています。また、その他の妊婦に関しても、接種対象から除外しないとしています。mRNAワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いが、器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける、としています。

さらに6月17日には、日本産婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会の会長が連名で妊婦の方々への提言を行われています。その中で、「すでに多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに何らかの重篤な合併症が発生したとする報告もありません。したがって日本においても、希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます」と記載されています。


4月21日には、アメリカからmRNAワクチン(ファイザーまたはモデルナ社製)を妊娠期間中に接種した人の追跡調査の第1報が報告されました。
Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons | NEJM
ワクチン接種をした約4000人の妊婦が対象で、約94%は医療従事者、約79%がNon-Hispanic Whiteでした。今回は、この中で妊娠を終了した827名について追跡調査をしています。流産や死産、早産、および新生児の低体重、先天性奇形の発生率は、コロナ禍以前の調査結果と差がありませんでした。また新生児の死亡は報告されていません。

調査参加者の報告

コロナ禍
以前の報告

ワクチン
接種後

%

no./total no. (%)

妊娠終了者の経緯

20週未満の自然流産

10–26

104/827 (12.6)

20週以降の死産

<1

1/725 (0.1)

新生児の経緯

37週未満の早産

8–15

60/636 (9.4)

低体重

3.5

23/724 (3.2)

先天性異常

3

16/724 (2.2)

新生児期死亡

<1

0/724


妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合の影響に関しては多くの論文が報告されています。これまでに報告された42論文、計438,548名の妊婦についての情報を収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説(メタアナリシスと呼ばれる)が3月19日に公表されました。

このメタアナリシスによると、妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、子癇前症(妊娠に伴う高血圧や蛋白尿)が約1.3倍、早産が約1.8倍、死産が約2倍、それぞれのリスクが増大しています。また妊婦のICU、および新生児のNICUへの入院リスクが、それぞれ4.8倍と3.7倍増加しています。
さらに新型ウイルスに感染して重症だった妊婦は、軽症だった妊婦に比べて、子癇前症や早産のリスクは約4倍増大していました。

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