山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

感染力の極めて強いデルタ変異ウイルスが日本や世界で猛威をふるっています。いち早くワクチン接種を進めたイギリス、イスラエルやアメリカ合衆国においてもデルタ変異による感染が急増しています。幸い、ワクチンはデルタ変異であっても強い重症化抑制効果があります。一方、インドネシアやタイでは、これまで日本と同様に感染爆発を免れてきましたが、ワクチン接種の遅れとデルタ変異の拡大により、感染や重症化が急増し、医療がひっ迫しました。我が国においても、当面は感染を収束に向かわせることは難しく、如何に医療崩壊を防ぎ、ウイルスと共存するかに重点を置く必要があります。そのためには、ワクチン接種に加えてマスク着用などの基本的対策をしっかり続けるとともに、医療体制の強化が重要です。これまで以上の強いリーダーシップが求められています。

新着情報

どの情報を信じるべきか?

私は、科学的な真実は、「神のみぞ知る」、と考えています。
新型コロナウイルスだけでなく、科学一般について、真理(真実)に到達することはまずありません。
私たち科学者は真理(真実)に迫ろうと生涯をかけて努力していますが、いくら頑張っても近づくことが精一杯です。真理(真実)と思ったことが、後で間違いであったことに気づくことを繰り返しています。
その上で、私の個人的意見としては、医学や生物学における情報の確からしさは以下のようになります。

本情報発信では、各情報の根拠を明らかにし、下記の分類のどれにあたるかが判るよう心掛けています。

真理(真実)
>複数のグループが査読を経た論文として公表した結果
>1つの研究グループが査読を経た論文として公表した結果
>査読前の論文
>学術会議(学会や研究会)やメディアに対する発表
>出典が不明の情報


査読とは、他の研究者(専門家)が内容を検証することです。科学雑誌に論文を投稿すると、編集者が依頼した複数の研究者(数名)の査読を受けます。査読者は、論文の内容を検証し、そのまま公表すべきか、追加実験が必要か、それとも却下すべきかの意見を編集者に伝えます。編集者は、複数の査読者の意見を受けて最終決定を行います。しかし、査読を経て公表された論文であっても、後になって間違いであることが判明することもあります。複数の研究グループにより研究内容が再現され、複数の論文として査読後に発表された場合、信頼性は高くなります。しかし、その場合であっても、後になって間違いであることが判明することがあります。
最近は、査読前の論文であっても、インターネットで公表されることが増えています。査読前の論文は、参考にはするべきですが、他の研究者による公式の検証は受けていません。ただ、詳細なデータや実験方法は公表されますので、多くの研究者が独自に検証することが出来ます。
論文として公表する前に、学会やメディアに公表することも良くあります。メディアにより大きく報道される場合もあります。しかし学会やメディアにおける発表は、公表される内容が限られるため、検証が難しく、発表内容を鵜呑みにすることは危険です。
最近はSNS上等で、出典が不明の内容が拡散することも多くなっています。出典が不明の情報は、玉石混交と考えるべきです。
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